義父から借りたCanon FTQL(1966年発売)にフィルムを入れようと思い、裏ブタを開けたところ、何とまだそこにはフィルムが入ったままでした! しかも何故かパトローネがなく、切れたフィルムだけが右側に巻き取られた状態になっているのです! そんな状態で何十年も過ごしていたらしいので、きっとフィルムもダメになっているだろうし、撮った写真も下らないものだから処分して構わない、と義父は言うのですが、とりあえず現像に出してみることにしました。
カメラ屋でその旨を告げると、意外にも快く引き受けてくれたので、カメラごと預けることにしました。(本当はここでフィルムの貴重さを強く訴えるべきだったのですが、そのときはカメラ屋を信用していたので特には言いませんでした。)
そして、現像の出来る時間へ再びカメラ屋に向かいました。
出てきたカメラ屋は、ちょっとバツが悪そうに、
『ネガフィルムだと思って現像したのですが、リバーサルフィルム(ポジフィルム)でした・・・(苦笑)』
と私に告げました。
最初、私は意味が良く分からなかったのですが、どうやら本来の現像方法ではなく間違ったやり方で現像したために、同時プリントが出来なくなったというのです。目の前に出されたフィルムを見てみると、確かに見たこともないおかしな青色になっています。でも、そこにはネガのような像がしっかりと写っていました。
『あれ!これ、プリント出来ないんですか?』
『ええ、クロス現像なので、出来ないんですよ(苦笑)』
『・・・・・・(マジで?)』
ああ、そんなことってあるんですね。プロだと思っていた人が間違えるなんて! しかもあんまり謝らないし! てか、クロス現像って何?! 何だか良く分からないまま、仕方なく私は家に帰りました。
帰宅後、試しにスキャナーにかけてみました。
それがこの写真です。
そして、もう一枚。
設定をポジフィルム用にしてスキャン。フォトショップで階調を反転して、トーンカーブで調整すると、何とかいい感じになりました。忘れ去られていた昭和の写真が甦りました。
カメラ屋が言っていたクロス現像とは、ポジフィルムをネガフィルムとして現像することらしく、効果を狙って故意にされる方もいるそうです。そういう背景があったので、カメラ屋も別に悪びれなかったのでしょうか。でも普通にポジフィルム用に現像してくれれば、何の苦労もなかったかもしれません。(その代わり、クロス現像も知らずにいたでしょうね)
ちなみにクロス現像されたフィルムを設定をネガフィルム用にしてスキャンすると、先ほどの写真はこうなります。
う~ん、どうなんでしょう(笑)。